脱毛サロンや医療脱毛クリニックの契約は、特定商取引法に基づくクーリングオフで解約できます。手続きはシンプルで、契約書面を受け取ってから8日以内に、書面またはメールで契約解除の通知を送るだけです。
本記事では、ハガキやメールの書き方、宛先の確認方法、施術後や支払い前の扱い、電話だけで手続きできるのかといった注意点まで、弁護士の視点で解説します。
【この記事のポイント】
- 脱毛のクーリングオフは、契約書面を受け取ってから8日以内に書面またはメールで通知すれば、理由を問わず解約できる(※契約書面に法定記載事項の不備がある場合は、8日経過後でもクーリングオフが可能)
- 医療脱毛も、2017年の施行令改正で一定の条件を満たせばクーリングオフの対象になる
- 通知はハガキ・内容証明・メールのいずれでも可能だが、電話や口頭だけでは法的に認められない
- 施術後でも全額返金が原則で、支払い前であっても手続きは必要
- サロンにクーリングオフを拒否された場合や返金トラブルは、弁護士への相談で解決が期待できる
脱毛のクーリングオフは自己都合でもできる

脱毛のクーリングオフは、自己都合であっても適用されます。ここでは、クーリングオフの仕組みと適用条件、対象外のケースについて解説します。
理由を問わず解約できる仕組み
クーリングオフは、特定商取引法で認められた「無条件で契約を解除できる制度」です。契約書に「クーリングオフ不可」の記載があっても、その特約は法律上無効とされます。
契約書面を受け取った日から8日以内であれば理由を問わず解約できるため、自己都合でも適用条件を確認してください。
脱毛サロンと医療脱毛、それぞれの適用条件
脱毛サロンや医療脱毛クリニックの契約は、以下の条件をすべて満たす場合にクーリングオフが適用されます。一つでも満たさない場合は対象外になるため、契約書面で3つの条件を確認してください。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 1か月を超える契約が対象 (※1か月ちょうどは対象外) |
| 契約金額 | 総額5万円超(税込) |
| 通知期限 | 契約書面を受け取った日を1日目として8日以内 |
対象外になるケース
クーリングオフは、継続的な高額契約から消費者を守るための制度のため、以下のような契約には適用されません。
- 都度払いプランや、いつでも解約できる月額プラン(※ただし、名目上「都度払い」でも複数回の継続施術が前提とされている場合は、クーリングオフの対象になる可能性があります)
- 契約金額が5万円以下のコース
- 1回限りの体験・お試し施術
- 契約書面を受け取ってから8日を過ぎて通知した場合(※ただし、契約書面に特商法42条の法定記載事項が一つでも欠けている場合は、8日経過後でもクーリングオフが可能です。詳しくは弁護士にご相談ください)
クーリングオフ対象外でも救済されるケース
クーリングオフの条件を満たさない場合でも、消費者契約法に基づく契約取消しや中途解約が認められるケースがあります。
事業者側の説明不足や不当な勧誘があった場合、消費者契約法が「契約の取消し」を認めているためです。
たとえば以下のようなケースです。
- 追加料金・解約手数料・施術リスクなどの説明がなかった
- 必要以上に高額な契約を勧められた
また、契約後に予約が取れない、店舗が閉店したなど、事業者側の履行に問題がある場合は、債務不履行を理由に契約解除を主張できるケースもあります。
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医療脱毛もクーリングオフできる?

医療脱毛は医療機関との契約のため、クーリングオフの対象外だと思われがちです。しかし、一定の条件を満たせばクーリングオフが適用される場合があります。
法改正で美容医療も対象に
2017年12月1日の特定商取引法の施行令改正により、医療機関が提供する美容医療サービスの一部も、一定の条件を満たせばクーリングオフの対象になりました。医療脱毛のほか、しみ・ほくろの除去なども対象に含まれます。
医療脱毛でも知っておきたい注意点
以下の注意点は医療脱毛に限らず脱毛サロンにも共通しますが、特に医療脱毛ではローンの扱いが複雑になりやすいため、手続き前に確認しておきましょう。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 医療ローン利用時 | 月々の分割払いや定額払いも、実質的な継続契約とみなされる場合があり、クリニックと信販会社の両方へ通知が必要になる |
| 書面の受領日(共通) | 脱毛サロン・医療脱毛ともに、契約した日ではなく、契約書を受け取った日がクーリングオフ期間の起算日となる |
| モニター契約(共通) | モニター価格でも、条件を満たせばクーリングオフの対象となる可能性がある(サロン・クリニック共通) |
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脱毛のクーリングオフのやり方【4ステップ】

脱毛契約のクーリングオフは、次の手順で進めます。
契約書面の内容を確認する
クーリングオフができるかは、契約書の内容で判断します。契約書の以下の項目をチェックしてください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 契約日(書面受領日) | クーリングオフ期間(8日以内)の起算日になる |
| 契約期間 | 1か月を超えているか |
| 契約金額 | 総額5万円超(税込) |
| 特商法42条の法定記載事項 | 法定記載事項が一つでも欠けている場合は、8日経過後もクーリングオフが可能 |
| クーリングオフ通知の送付先 | 本社宛てが指定されている場合が多い |
| 信販会社名・住所 | ローンやクレジット払いの場合に必要 |
通知書面を作成する
クーリングオフは、書面またはメールなどの電磁的記録による通知が必要です。口頭や電話だけでは法的効力が認められないため、通知書面を作成して送付します。
書面に記載すべき内容は、以下のとおりです。
- 「契約解除通知書」と明記(冒頭に記載)
- 契約年月日、契約店舗名、コース名、契約金額
- 通知日、自分の氏名、住所、連絡先
- 「上記契約を解除します」といった明確な意思表示
- 返金先口座情報(現金払いの場合)
※8日を過ぎてからの通知については、記載内容が異なる場合があります。詳しくは弁護士にご相談ください。
「解除したいと思います」などのあいまいな表現は、サロン側に無効を主張される余地を与えるため、「解除します」と明確に記載してください。メールで送る場合も同じ内容を記載し、送信記録の保存も忘れてはいけません。
特定記録郵便や簡易書留で送付する
作成した通知書面は、必ず発送記録が残る方法で送付します。
クーリングオフは発信主義を採用しており、通知が相手に到達した日ではなく発送した日(郵便の場合は消印日)に効力が発生します。そのため、発送日が8日以内であれば、相手に届くのが9日目以降になっても有効です。なお、メールで通知した場合も同様に送信日が基準となります。
発送記録が残る主な送付方法は以下の3種類です。
| 送付方法 | 料金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特定記録郵便 | 普通郵便料金+210円 | 発送記録が残る。配達記録なし。(賠償なし) |
| 簡易書留 | 普通郵便料金+350円 | 発送・配達記録が残る。(一部賠償あり) |
| 内容証明郵便 | 1,420円〜(※最新料金は日本郵便のサイトで確認) | 文面・日付・差出人・宛先を郵便局が証明。配達証明を付けることで配達記録も残せる。最も証拠力が高い |
通知書面のコピーや写真は必ず保管してください。
信販会社にも通知する
クレジットカードや医療ローンで支払った場合は、信販会社にも通知が必要です。
サロンやクリニックとの施術契約とローン契約は別契約のため、通知しないとローンの支払い義務が残る可能性があります。
信販会社の名称や住所は契約書類で確認できます。
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脱毛サロン・クリニック向け書面・メールの書き方と宛先

クーリングオフの通知は、書面の記載内容に不備があると「受け取れない」とされる場合があります。そのため、正しい書き方と宛先を押さえておく必要があります。
ハガキの書き方と記載項目
ハガキには、表面に送付先と差出人、裏面に契約解除通知書の内容を記載します。
記載内容に漏れがあると手続きが認められない可能性もあるため、以下の項目を確認しながら記載してください。
【表面】
- 送付先(本社住所・会社名)
- 差出人(自分の住所・氏名)
【裏面】
- 「契約解除通知書」と明記(冒頭に大きく記載)
- 契約年月日、契約店舗名、担当者名
- 契約コース名、契約金額
- 「上記契約を解除します」という文言
- 通知日、氏名、住所、印鑑
- 返金先口座(現金払いの場合)
※8日を過ぎてからの通知については、記載内容が異なる場合があります。詳しくは弁護士にご相談ください。
記載は消えないボールペンなどで行い、フリクションペンや鉛筆の使用は避けます。作成後はハガキの両面のコピーまたは写真を保管してください。
メールで通知する場合の書き方
メールで通知する場合も、記載内容はハガキと同じです。(2022年の特定商取引法改正で電磁的記録も認められています)。送信時は以下の点に注意してください。
- 件名に「契約解除通知書」と明記する
- 本文に必要項目(契約日・店舗名・コース名・金額・解除の意思表示など)を漏れなく記載する
- 送信後、送信済みメールのスクリーンショットを保存する
- 相手方からの受信確認メールも保管する
- 送信先は契約書に記載されたアドレスまたは公式サイトで確認する
宛先は本社?店舗?
クーリングオフの通知先は、契約書類に記載された送付先が最優先で、多くの場合、本社宛てが指定されています。宛先が分からない場合は、以下の方法で確認できます。
- 公式サイトで本社住所や問い合わせ先を確認する
- それでも分からない場合は、国民生活センターや弁護士に相談する
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施術後・支払い前でもできる?

施術後や支払い前であっても、契約書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフが可能です。
施術後でも全額返金が原則
クーリングオフが成立した場合、施術を受けた回数にかかわらず全額返金が認められます。特定商取引法第48条で、事業者が損害賠償や違約金の請求はできないと定められているからです。
ただし、施術とは直接関係のない消耗品(サロンで購入した化粧品や美容液など)を自発的に使用・消費した場合は、その分はクーリングオフの対象外の場合があります。
支払い前でも手続きは必要
代金を支払う前でも、クーリングオフの手続きが必要です。契約書にサインした時点で法的に契約が成立するため、放置するとサロン側から代金を請求される可能性があります。
支払い前のクーリングオフも基本的な手続きは同じで、書面またはメールで契約解除の意思を通知し、発送記録が残る方法で送付します。クレジット契約がある場合は信販会社にも通知してください。
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電話だけではクーリングオフはできない

特定商取引法では、クーリングオフの通知方法を「書面」または「電磁的記録(メール・FAX・Webフォームなど)」と定めており、電話や口頭は法的に認められません。
電話でサロン側が了承した場合でも、書面やメールでの通知がなければ法的効力はないため注意してください。
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期間を過ぎたら中途解約を検討する

クーリングオフの期間が過ぎても、契約期間内であれば中途解約が可能です。解約手数料が発生する場合もありますが、契約内容によっては負担を抑えて解約できます。
中途解約の概要と手数料の目安
中途解約はクーリングオフとは異なり、解約手数料が発生します。手数料の上限は特定商取引法で定められており、法外な違約金は請求できません。
上限額は以下のように定められています。
| 区分 | サービス提供前 | サービス提供後 |
|---|---|---|
| エステ脱毛 | 2万円 | 提供された役務の対価相当額+2万円または残額の10%のいずれか低い方 |
| 医療脱毛 | 2万円 | 提供された役務の対価相当額+5万円または残額の20%のいずれか低い方 |
【エステ脱毛の場合の計算例】
全身脱毛12回・総額24万円のコースを8回受けた後に解約する場合、契約残額は8万円、手数料上限は残額の10%=8,000円(2万円より低いためこちらが適用)となり、返金額は7万2,000円です。
中途解約は法律で認められた権利であり、事業者が一方的に拒否することはできません。中途解約の拒否や、法外な手数料の請求をされた場合は、消費者庁の相談窓口や弁護士への相談をしてください。
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脱毛のクーリングオフで困ったら弁護士に相談を

クーリングオフの拒否や返金トラブルも、弁護士が交渉を代行することでスムーズな解決が期待できます。
弁護士に相談すべきケース
以下のような状況では、弁護士への相談も視野に入れましょう。
- サロンやクリニックから、クーリングオフを拒否された
- 書面を送付したにもかかわらず返金されない
- 医療ローンを利用しており、信販会社との対応が複雑になっている
- サロンが突然閉店・倒産した
- 強引な勧誘や不実告知があり、契約の取消しを検討している
- 中途解約で、法外な手数料を請求されている
弁護士が介入するとどう変わるか
弁護士が介入すると、サロンや信販会社とのやり取りをすべて任せられるため、精神的な負担を軽減できます。
具体的には、以下の対応が可能です。
- 受任通知の送付(弁護士名義でサロンや信販会社に通知)
- 交渉の代行(サロン・クリニック・信販会社との交渉を代行)
- 返金請求のサポート(法律に基づく返金交渉)
あおぞらみらい法律事務所では、脱毛契約のクーリングオフ・中途解約・返金トラブルについて無料相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
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よくある質問(FAQ)

- Q書面の書き方を間違えたらクーリングオフが無効になりますか?
- 「解除します」という明確な意思表示と、契約を特定できる情報(契約日・店舗名・コース名・金額)の記載があれば、多少の不備で無効になるとは限りません。
ただし、意思表示があいまいな場合や、8日以内の消印がない場合、書面を送付していない場合は、サロン側から無効を主張される可能性があります。不安がある場合は弁護士などの専門家に相談してください。
- Q施術を1回受けた後でも全額返金されますか?
- 8日以内にクーリングオフの手続きを正しく行えば、施術済みでも全額返金が認められます。
特定商取引法第48条では、クーリングオフ成立時に、事業者は損害賠償や違約金を請求できないと定めています。そのため、「施術分を差し引く」といった対応は認められません。サロン側がそのように主張する場合は、法律の解釈を誤っていると考えられます。
- Qサロンに「クーリングオフできない」と言われたらどうすればいいですか?
- サロン側から「クーリングオフできない」と言われても、その説明が正しいとは限りません。クーリングオフは法律で認められた制度です。このような場合は、次の対応を検討してください。
- 書面やメールでのクーリングオフ通知を予定どおり送付する
- 消費者ホットライン(188)に相談する
- 弁護士に依頼し、受任通知をサロンへ送付してもらう
- Qクーリングオフしたらサロンとの関係が悪くなりませんか?
- クーリングオフは法律で認められた正当な権利の行使です。これを理由としたサロン側からの嫌がらせや不当な対応は法律上認められません。
実際の手続きも書面やメールを送付するだけで完結するため、サロンと直接対面でやり取りする必要はありません。手続き後に不当な連絡や請求があった場合は、弁護士への早めの相談を検討してください。
- Qクーリングオフの通知を出した後にサロンから連絡が来たらどう対応すべきですか?
- 書面で通知済みであることを冷静に伝え、返金手続きを求めましょう。やり取りはできるだけ書面やメールで行い、電話での口約束は避けてください。
返金期限を過ぎても対応がない場合や、不当な請求・圧力を感じた場合は、あおぞらみらい法律事務所へご相談ください。


